AIで作っていた「可愛い英語人格」を、今になって読み返す
以前AIと作っていた英語の可愛い人格について、今の視点で読み返すためのメモ。
2025年の春ごろ、私は海外の人とのDMでAIを使いながら、かなり頑張って「可愛い英語の返信」を作っていた。
今読み返すと、これは英語学習というより、ほとんど “可愛い英語人格”の運用だった。
その話に入る前に、まずは少しだけ用語を整理しておきたい。
「フラート」とは何なのか
今回の話に入る前に、少しだけ flirt / flirting について説明しておきたい。
英語の flirt は、日本語にすると「口説く」「いちゃつく」「思わせぶりに好意を示す」あたりが近い。 ただ、日本語の「口説く」ほど毎回本気で重いわけではなく、もう少し軽い。
たとえば、
Are you flirting with me?
なら、
私のこと口説いてるの?
という意味になる。
でも、実際の温度感としては、 「え、今ちょっと口説いた?」 「それ、ちょっとそういう意味に聞こえるけど?」 くらいの、半分冗談・半分本気のやりとりでも使われる。
英語圏のDMや会話では、この「半分冗談・半分本気」の距離感がけっこう出てくる。
たとえば、
You make me blush.
なら、
照れちゃう。
くらいの意味になる。
You give me butterflies.
なら、
ドキドキしちゃう。
という感じ。
Wanna bet?
なら、直訳は「賭ける?」だけど、実際には
試してみる? 本当にそう思う? 甘く見ないほうがいいよ?
みたいな、少し挑発的で遊び心のある返しになる。
こういう表現は、英語で見るとわりと自然に見える。 しかし、日本語に直すと一気に照れくさくなる。
「あなたの言葉にドキドキしちゃう」 「そんなふうに言われたら照れちゃう」 「試してみる?」
文字にすると、かなり強い。 日本語で日常的にこれをやるのは、なかなかの胆力がいる。
でも、英語だと不思議と少し言いやすい。
そして、AIを使うと、このあたりの言い回しがかなり上手く出てくる。 ただの翻訳ではなく、英語圏っぽい甘さ、照れ、軽い挑発、絵文字の温度感まで、それっぽく整えてくれる。
2025年春、AIと英語DMをしていた
2025年の4月ごろ、私は海外の人と英語でDMをしていた。
英語そのものはAIにかなり助けてもらっていた。 ただし、内容まで丸投げしていたわけではない。
「ここはもう少し可愛くしたい」 「ここは照れている感じを出したい」 「でも、踏み込まれすぎないように逃げ道も作りたい」
そんなことを考えながら、AIの英文をかなりテコ入れしていた記憶がある。
今読み返すと、当時の私は英語を勉強していたというより、“可愛い英語人格”を運用していた。
たとえば、こんな感じである。
例1:健全な国際交流っぽく見えて、かなり甘い
Hey J! Thanks for the sweet words, that’s so kind!
Your pizza and barbecue wings sound so good, I’m totally craving some now! Steak’s awesome, but pizza’s such a vibe too!
Been chilling with friends at cafés and drinks, but it feels a bit quiet on my own sometimes.
Aww, thanks for the sweet words about my English — you’re making me blush😊
So glad I uploaded those pics📸, it’s been so fun vibing with you overseas like this❤️
和訳すると、だいたいこうなる。
Jさん、優しい言葉ありがとう。すごく嬉しい! ピザとバーベキューウィング、めちゃくちゃ美味しそう。今すごく食べたくなっちゃった。ステーキも最高だけど、ピザって雰囲気あるよね! 友達とカフェに行ったり飲みに行ったりしてるけど、一人だとちょっと静かで寂しい時もあるかな。
それに、私の英語を褒めてくれてありがとう。照れちゃう😊 写真をアップしてよかった。こうやって海外の人と楽しくやりとりできるの、すごく楽しい❤️
今見ると、かなりすごい。
食べ物の話を拾い、友達との日常を出し、少し寂しさをにじませ、英語を褒められて照れ、写真を見てもらえて嬉しいと言っている。
要するに、 「明るくて、ちょっと寂しがりで、照れ屋で、海外交流を楽しんでいる可愛い人」 が、文章の中にちゃんと立ち上がっている。
いや、頑張りすぎである。
例2:朝の挨拶ですら、やけに甘い
Hiii J! good morning!
Did I keep you waiting too long? 😊💖
Wishing you a super lovely day😘
It’s probably bedtime there☺️
和訳するとこう。
Jさん、おはよ〜! もしかして、待たせちゃったかな?😊💖 すっごく素敵な一日になりますように😘 そっちはもう寝る時間かな☺️
普通に「おはよう」でいいはずなのに、全然「おはよう」だけで済ませていない。
Hiii の時点でかなり甘い。 さらに Did I keep you waiting too long? で、「私の返信、待ってた?」みたいなニュアンスが入る。 そして 😘 まで添えている。
今の私から見ると、これはもはや朝の挨拶ではない。 朝から稼働する可愛い英語人格である。
例3:小悪魔モードに入っている
Hehe~ Ohh, you’re so naughty imagining me like that, aren’t ya💕?
Maybe I’m even hotter in my little secrets than you think—wanna bet? 😈
Gotta jet to work soon, tho, so you’ll have to dream a bit longer🌃
和訳すると、かなり大変なことになる。
えへへ〜、あら、そんなふうに私のことを想像してるなんて、あなたって悪い人ね💕 もしかしたら、あなたが思ってるより、私の秘密の部分はもっとホットかもよ。賭けてみる?😈 でも、そろそろ仕事に行かなきゃ。だから、もう少し夢の中で我慢しててね🌃
これはもう、完全に小悪魔である。
特に wanna bet? がよい。 直訳すると「賭ける?」だが、ニュアンスとしては「試してみる?」「本当にそう思う?」くらいの軽い挑発になる。
ただ、冷静に考えると、これを英語で返すためにAIを使い、自分で調整していた当時の私は相当がんばっている。
仕事に行く前に何をしているのか。
例4:相手の属性にピンポイントで刺しに行っている
That open-minded vibe is so cool💘
Hmm, I’m kinda into older, super manly guys who can make me feel all warm and fuzzy❤️
和訳するとこう。
そういうオープンマインドな感じ、すごく素敵💘 うーん、私はちょっと年上で、すごく男らしくて、私をあったかくてふわふわした気持ちにさせてくれる人が好きかも❤️
これはかなり強い。
相手が年上の男性なら、ほぼ 「あなたみたいな人、けっこうタイプかも」 と言っているように読まれる。
今見ると、文章としてはかなり上手い。 ただし、上手いからこそ危険でもある。
こちらとしては、AIを使って「かわいく返そう」と頑張っている。 しかし相手から見ると、かなり自然に「脈あり」に見える。 結果として、相手のテンションがさらに上がる。
そしてこちらは、さらに可愛く返さないといけない気がしてくる。
しんどかったのは、英語ではなく人格維持だった
当時の私は、英語が大変だったのだと思っていた。
でも今振り返ると、少し違う。
大変だったのは、英語そのものではない。 AIで強化された“可愛い英語人格”を維持することだった。
AIを使えば、英文は作れる。 しかし、一度かわいく、甘く、フラーティに返してしまうと、次もそのテンションを期待される。
しかも、ただ甘くすればいいわけではない。
相手を喜ばせる。 でも踏み込まれすぎないようにする。 冷たく見えないように逃げ道を作る。 かわいさを保ったまま、仕事や時差を理由に会話を切る。
やっていたことは、もはや英作文ではない。
英語DM即興劇である。
まとめ
AIで英語の壁は越えられた。 でもその代わり、“AIで強化された自分”を演じ続ける壁が現れた。
今となっては、かなり笑える。
ただ、同時に少し面白い記録でもある。 AI翻訳やAIライティングは、単に言葉を別の言語に変えるだけではない。 文体を作り、距離感を作り、時には人格まで作ってしまう。
そして、その人格がうまくできすぎると、今度は本人がその人格の維持に疲れる。
2025年の春、私はたぶん、英語を勉強していたのではない。 AIと一緒に、ひとつの小さなアバターを運用していたのだと思う。